仕事とはいえ、年上の部下や後輩は厄介に思っている方が多いようです。思ったように動いてくれない、なんだか小馬鹿にされている気がするなど、仕事の指示をする前から関係性に悩んでいる方は、仕事がはかどらず大変ですね。ここでは年上部下の実態を書いてみたいと思います。またそれに対しての考え方と、対処法もご紹介しています。
目次
◇年上部下とは仕事がしづらい!?年上部下が考えている事とは
1つや2つの年齢差であれば、あまり気にならないかもしれませんが、10歳以上年上の部下を持つとなったら、大丈夫かな!?と不安になる場合があります。不安になる要素は、ズバリ!、言う事を素直に聞いてくれるのか?自分が上司になって、頼りないと思われるのではないか?という考えが多いようです。では、年上の部下になった方々の傾向を書いてみたいと思います。主に、20~30代の上司に対して、50代前後の部下の考えです。
〇50代辺りの方は根性論が多い傾向がある
およそ30年前、私が高校を卒業して、短大・大学・専門学校に通っている頃、バブルもはじけた後で就職難の時でした。しかし、その頃言われていたのが、これからは女性も最前線で働けるというものでした。今でこそ、電車・タクシー・トラックなどでも女性の姿をよく見かけますが、その頃は男性の仕事として認識されていた仕事です。それなので、最前線で働けると聞いて、上を目指す女性が多く出てきたのです。現に私の同世代で、結婚せずバリバリ働いている女性が沢山いらっしゃいます。そこで、仕事中心に働いてきた方は、昔ながらの根性論で育っているパターンが大いにあります。上司は男性だった方が多いので、仕事中でも、仕事終わりの飲み会でも、男性社会のルールに従わされるのです。それを乗り越えなければ上に上がれないと考えた女性たちは、それに合わせていた事でしょう。そうなると、私たちは苦しい時代を生き抜いたという自負が生まれ、今の若い世代の方々にも根性論を当てはめてしまうのです。もちろん、現代はそうではなくなったと、薄々は理解しているのですが、ついつい出てしまうわけです。
〇自分がしてきた事を認めて貰いたい
そうやって、苦しく厳しい時代を生き抜き、認めてもらい、役職やポジションを獲得した方々は、ある意味世渡り上手でもあります。良く言えば、褒められ上手で、プレゼン上手です。悪く言えば、人を見て、すり寄ったり、おだてたりして同世代を出し抜いてきたでしょう。そのような方は、年上男性から認められるための努力はお手の物ですが、年下の、特に若い女性を褒めたり、認めたりするのは大の苦手です。自分の方が出来る、自分の方が知識はあると、張り合ってしまうのです。ここで万が一部下が男性であっても、その男性が若い場合は、私が育ててあげるとばかりに、お節介をし出すのも特徴的です。とにかく、知識量や、仕事が出来ると認めさせたいという意識が働きます。
〇新しい事を試す勇気がない・リスクが怖い
若い方々は物事を捉える視点が柔軟で、さらにトライする気持ちもあります。50代の方でもトライする気持ちを忘れず、意欲的にされている方もいますが、雇用されている側の方の多くは、その新しい事へのトライが難しくなってきています。わざわざ書かなくても、皆さまお分かりだとは思いますが、億劫で根気が無くなり、責任を取るという事が怖くなるのです。現に、この年から何かをするなんて。と初めからする気が無い発言や、何かあった時に、若いリーダーのせいにして、逃げた方もいらっしゃいます。『私は、初めから乗り気では無かった。あの子が始めた事。』という具合です。年齢を重ねて何かを始める事、またそれが自分の趣味ならまだしも、仕事の中でチームとして取り組まなければならない事になると、途端にベテランと言われる方々は引き気味になります。改めて申し上げますが、意欲的に参加されている方もいらっしゃいます。しかし、若い方の意見やチャレンジに、一緒になって取り組める方は少ないと感じます。
〇世の中の変化に気付けていない
皆さんも聞いたことがあるはず、『昔はこうじゃなかった。』というフレーズ。全く一緒ではないにしろ、とにかく昔の話を持ちだす方いらっしゃいませんか?『一昔前だったら、こんな事許されなかった』とか。それでこちらは、どうしろというのか??ずーっと時代は変わり続けています。急に2~30年経ったわけではありません。それなのに、急にそんな昔の事を今言う?とはいえ、50歳の私には、7~80代の方が同じような事を言って来られます(笑)そう考えると、2~30年ごとに、そう言いたくなるような枠が存在するのでしょうか。そこで私は『大変でしたね。それでも続けて来られたことは簡単な事ではなかったでしょう。』と答えますが、本当はそのような時代だった事は知っています。また、私のその言葉に『そうなのよ。』と喜んでいる顔を見ると、今より大変な時代を生きてきた事へのリスペクトが欲しいのだろうと思い、今は今で大変なんだと対抗することなく認めるようにしています。どの時代でも、それなりに大変な事はありますが、物が無かった時代や、そんな時代の親に育てられた現50代の方々は、自分たちの時代が一番大変だと思っている節があります。
〇とにかく元気である
何の根拠も無い話をしますが。とにかく元気ですよね。大きな声で喋り、大声で笑い、人の(亭主の)悪口もペラペラ出てきて、自分の見解だけで世の中を生きているような強さがあります。どこを歩いていても、若い人の次に多いのは年配者です。お金を使うのも、その世代なので経済を回しているとも言えるでしょう。元気がゆえに、若い人に任せようという気持ちにならないという現実も…。よほど上に立ったことがある人以外は、やはり自分でした方が早いという認識で仕事をしますので、相談や報告が後回しになる事が多いのです。また、なぜこうなったのか?という問いに対して、今までこれでしてきていたから。とか、私のやり方はこれ。という自分中心の方法を採用しがちです。ルール変更や決まり事に対しても、自分以外の人がする事。とか、自分がしているやり方の方が分かりやすいと、勝手に決めつけているのも特徴的です。
他の人の記事:【必見】明日にでも実践できる!年上部下の簡単な4つの指導方法
◇年上部下の脳は変えられない!?考え方と対処法
このように、マイルールが激しすぎる年上部下は、若い人がまとめるとなると、とても大変な思いをする事になります。とはいえ、直ぐにクビにする訳にもいきませんし、人間性は良いのだけれど…と、仕事の一部分だけに参っている場合もあります。次に、考え方が変わらない年上部下に対して、どの様に対応していけばよいかを書きます。
〇得意な部分を見つけて任せてあげる
どんな人でも、ここまで頑張って続けているのであれば、何らかの得意分野があります。たとえ一つであっても、素晴らしい事には間違いありません。また、その年上部下が得意な事が、若い人にも得意な人が居て、若い人の方が早かったとしても、その年上部下に任せてはいかがでしょうか?若い人は、そのスピードで覚えられたのであれば、他にも得意な分野はあるはず。ここは、年上部下に任せて一つの居場所を作ってみては?私も以前の職場で年上部下が多い職場におりました。その人その人に合わせた仕事で、全任せをしていました。それは、掃除や、POP作りなど、直接仕事に関わらない事かもしれなくても、掃除が行き届いていれば、お店の信用は上がりますし、POPも凝ったものになれば注文数が上がります。このように『貴方のお陰で』というものをつくると、自然に信頼されていると捉えてくださり、率先して物事をしてくれたり、私がお願いする事は必ず引き受けてくれたりと、とても仕事がし易くなりました。注意点は、任せる前に本人に必ず確認を取る事です。得意でもやりたくない事であれば逆効果になるからです。『貴方が得意だと思ったから任せた』ではなく、『貴方が得意または、やりたいと思っている事を任せたい』という意思表示です。
〇上下という感覚より味方につける
そもそも部下なのだから、大人しく言う事を聞き入れて素直に動いてくれたら、どんなに楽だろうと思いますよね。しかし、プライドが高く、自信家である年上部下は、そうはいきません。そのため、部下として扱うより味方につけていく方が得策といえます。味方につけると言っても、変な派閥が出来てしまわないようにしなければいけません。要するに、あなたの為に動くという雰囲気を作る。または、助けたいと思わせるというのが大切です。簡単な事からで良いのですが、例えば何か仕組みを一つ変えた方が良いのでは?という提案を貰った場合、どのようにして変えるのか?という事がテーマになりますよね。その時に、自分一人で頭の中で考えるのではなく、いつまでに何をどれくらい処理して、最終的にいつまでに変えると常日頃から話をするわけです。そうした上で、本当に取り組んでください。そうすると、可視化されたタスクをこなしているあなたを見て、助けてあげようという気持ちが芽生えてくるのです。そう簡単な人ばかりでは無いかもしれませんが、全員じゃなくてもいいのです。1人でも2人でも、そのような人たちが現れると、格段に仕事がしやすくなります。
〇時々話をじっくり聞いてあげる
月に1回とか、わざわざ決めなくても構いません。時々時間を作って、仕事の話以外の事でも良いので、相手の話を聞いてあげる事です。愚痴ばっかりになるかもしれませんが、その中に少しでも確かに変えた方が良いかも?と思う事があれば、こちら側としてはラッキーな事です。それが無くても、相手はスッキリしますし、勝手に信頼関係を築いてくれます。その時間を重ねていくうちに、今度はこちら側の気持ちも付け加えていくのです。一気に言うのではなく、少しずつです。これまで聞いてもらっているし、理解して貰えていると思った相手は、こちら側の話を聞き入れてくれ易くなります。忙しい中でやりくりするのは大変かもしれませんが、年上部下を納得させようと思ったら、自分に対してここまで時間を使ってくれていると思わせなければならない時があります。そのため、頻繁にしなくても構いませんが、話を聞いてみてはいかがでしょうか?
〇余計な事を言って来ないようにある程度の壁を作る
とはいえ、味方につけて、話を聞いてあげると境界線を越えて、グイグイ来るのも年上部下の特徴です。タメ口で話出したり、余計な事まで口出ししてきたりするのです。そのため、ある程度の境界線を作るために壁を持つ必要があります。鉄壁ではなく、上は上であると認識させる程度です。私がしていたのは、『ここの店長は私です。』『決めるのはマネージャーの私です。』などで、置かれている立場をしっかりと認識してもらうのです。また、ゆるく話をする方には、『敬語でお話いただけませんか?』と直接その場でお伝えします。もちろん職場を離れれば問題ないという事と、チームワークを崩さないために、大切な事である事はきちんと伝えます。せっかく時間をかけて引き寄せた年上部下が、自分より偉そうになっていき仕事がしにくくなるのは良くありません。一線を持って、凛とした態度で臨みたいところです。
以前に書いた記事→やる気の見えない人への対処法とは?指導の方法を変えましょう
最後に
いかがでしたでしょうか?年上部下には気も使うし、時間も使う事も多くなるかもしれません。しかし、人生の先輩として、自分より多い経験をされている事には間違いありませんので、現代の仕事の仕方に、良い所だけ頂きたいものです。『温故知新(おんこちしん』という言葉があるように、今では出来ない貴重な経験の話などは、残せるものは残していきたいですよね。そしてさらに良いものが作れて行けたら、こんなに良い事はありません。私で力になれるなら、という謙虚な方ばかりでは無いかもしれませんが、これからは高齢化社会ですので、早い段階で年上の方々も仕事に馴染めるような環境を整えたいものです。思ったように動いてくれないのは、頭の処理能力の低下で動けない、又は内容を理解できていない、さらに自分がしてきたことを否定されている気がしてしまうのです。そこで、まずはこれまでの経験に対しての敬意を示した上で、相手が理解できるような言葉とスピードで説明が必要になってきそうです。