OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で教えても、仕事の合間に教えても、どうもやる気が見えないという方いらっしゃいませんか?聞く姿勢まで教えなければならないのかと、指導する側は仕事もしつつ教育する事に時間を取られてしまいます。さて、どうもやる気が見えない新人さんにどのように対応するべきなのでしょうか。
目次
◇指導の方法変えて見ませんか?やる気が見えない人への対処法とは
誰かの指導をする時に、多くの方は自分が教えられた通りに教えていくスタイルを取るでしょう。また、自分はここでつまずいたから、プラスして教えてあげよう。と、考える事もあるかもしれません。しかし、このスタイルが指導の時に大きな壁になる事があります。まず、指導される人が、自分ではないという事を忘れてしまっているのです。その指導された時代はいつのことでしょうか。1年前ならまだしも、数年前であれば、教わる側の感覚はかなり変わっている事でしょう。自分が教えられたとおりに教えても、ズレが生じます。まずは、伝わらない理由と、なぜ教わる側は理解できないのかを書いてみたいと思います。
・知りたい事と教えたい事が違うギャップ
何度言っても伝わらない場合や、指導しても違う事をしてしまう。というケースで悩まれている方は多くいらっしゃいます。これは、指導する側が、これを教えたいと思っていても、教わる側が違う事を教わりたいと思っているギャップにあります。例えば接客業で、レジ打ちの事を教えたくても、新人は商品の事を知りたいと思っていれば、レジの事は頭に入ってきません。このように、二人の間で意思疎通がなされていないと、時間だけが過ぎていく事になります。昔は、先輩から教わる事は何が何でも聞いて、出来るようになるという時代でしたが、今は自分が学びたい事を学ぶという方も増えています。とは言え、長く務めるためには、細かい事も理解して貰う必要がある訳ですが、そのような時は、スケジュールを先に伝えると良いかと思います。何か月かけて、何を学んでいくという事が先に分かれば少しはギャップを埋める事が出来るかもしれません。
・何のためになるのか分からない事をクリアにする
教わる側は、ただただ指導されていく中で、これって何になるの?と疑問を抱くことがあります。特に雑務に当たる事には、かなり鼻が効くようです。しかし長く仕事をしていれば、雑務であっても重要な役割を持っている事も多くあります。それを説明せずに、ただ業務だけを指導していくと、若手からすると、面倒くさい事を押し付けられるのではないか。と心配になるわけです。また、お前の為を思って言っているのだ。という言葉も、自分の何を思っているのかが分からないと、意見を通すための言い訳にしか聞こえない事もあるようです。そのため、例えばお客様に迷惑が掛からないために。とか、万が一クレームになった際に、どれだけの時間と作業が待っているかを丁寧に説明したうえで、この一つの作業の大切さを教えてみてはいかがでしょうか。特に花形では無い作業の時に、このような疑問を新人の方は抱きやすいので、裏方の作業や、雑務に関しては、いつもより丁寧な説明が求められます。
・教えるではなく、伝えるという意識
教えてあげているという感覚は、もはや捨てた方がいいでしょう。仕事でも人生でも先輩なのですから、何も出来ない人のフォローは出来るはずです。自分のやり方で仕事がこなせるようになった事は、素晴らしい事で大変な努力もあった事でしょう。しかし、その会得した事を人に言う時には、伝えるというくらいの気持ちの方が、お互いに楽だと感じます。一生懸命努力して会得したことを、教えてやっていると感じてしまうと、相手に伝わらなかった時に、かなりイライラしてしまいませんか?万が一、相手が教えて欲しいなんて一言も言っていません。と言ったら愕然としてしまいますね。そこまで仕事が出来る方であれば、自ら学び、色々な方を見て自分の糧にされて来たはずですから、相手もそうであると願いたい気持ちは分かりますが、色んな人が居ますので、多くの人が自分と同じ気持ちだと考えるのは止めましょう。
・自分の事のように心配し過ぎない
これが出来ないと後から苦労する。先にこれをした方が、後で楽なのに。など、仕事を続けていれば、様々な要領が出てきますよね。しかし、だからと言って相手に干渉し過ぎて、あれこれと口出しをしてしまうと、相手の成長にもなりません。皆さんも誰か教えてくれれば良かったのにと思う事があったからこそ、先に教えたくなるのだと思いますが、その失敗こそが学びという事もあります。まるで自分の事のように心配してあげるのは、優しい事のようですが、自分で学ばなければならない事を学ぶチャンスを奪うという事にもなります。出勤してから退社するまで、まるで監視しているかのように目で追い、行く先々で指導するのは止めましょう。聞きたい事があればいつでも聞いてきてねと伝えて、少し放っておくくらいが丁度良いかもしれません。
他の人の記事:アドラー心理学で解明「やる気」の出し方
◆指導していても伝わらないと感じたときのセルフメンタルケア
さて、指導していて様々な事に気を付けながら進めていても、どうしても伝わらないという事もありますよね。そのような時は、教えているこちら側がメンタルをやられてしまいがちです。教え方が悪いのか?自分の事を嫌っているのか?など、心配しなくていい事まで心配してしまい、翌日仕事に行くのが億劫になってしまいます。では次に、どうも上手くいかないなと感じたときの考え方をいくつか紹介してみたいと思います。切り替えがスムーズに出来る方は良いのですが、自分のせいかもとお考えの方は、是非お読みください。
・変わりたくない事を変える必要が無いと理解する
例えば、ネイル。最近は飲食店でも長い爪で、ダークなカラーを塗っている方が多くなりました。しかし、中にはネイルはNGとか、ナチュラルなカラーの方が良い職場もあるはずです。そのような時にネイルはダメと頭ごなしに指導するのではなく、ダメな理由を説明したうえで、ナチュラルカラーでお願いするなど、ネイル自体を否定しないような言い方に変えるのはいかがでしょうか。他にもその方自身が、ポリシーを持ってしている事を、全否定でダメ出ししてはいけません。目立つだけで特に問題が無いのであれば、変えさせる必要が無いのです。奇抜なファッションや髪型であっても、会社的に問題ないのであれば、先輩の好みだけで変えるように言わない方がいいでしょう。個人的には、飲食店の長くてダークカラーのネイルは嫌でしたが、最近はあまりにも多くなってきたので、気にしないようになりました。
・チームに影響する事では無い限り干渉しない
会社にとって損害になるような事やチームの輪が崩れるような事であれば別ですが、そうでない限り干渉するのを止めましょう。新しい方が来ると、どうしても目に入り気になるという方がいらっしゃるようですが、目に入れ過ぎないようにしてあげてください。自分にも自分なりの進め方があるように、新しい方であってもその方なりの進め方があるかもしれません。また、干渉し過ぎて、自分の仕事が後回しになれば本末転倒ですので、損害や悪い方への影響がない限り、干渉せずに見守りましょう。
・いい大人に対して依頼されていないお節介はやかない
新人とは言え、いい大人です。まだ幼さやあどけなさが残ってはいても、大人として接する必要があります。そのようないい大人に対して、お願いもされていないのに、お節介を焼いて、その結果に一喜一憂するのは止めましょう。確かに新しい人は、質問自体も思いつかず、なかなか進まないという事もあるかもしれません。そのような時は、どんな小さな事でも困ったら声を掛けてねと伝えて、変なお節介は焼かないと決めた方がいいでしょう。新しい方からしても、聞きたい人は他にいるかもしれませんし、聞きたい箇所が違うかもしれません。そんな時にお節介でお門違いな事を言われれば、うんざりする可能性がありますし、お礼を言うのも疲れます。頼まれていない事にお節介はしないと、キッパリと決めた方が、自分にとっても楽なのです。
・指導者を替えてもらう
どうしても合わない時は、指導者を替えてもらう方がいいでしょう。自分の仕事にも影響してしまうし、相手の為にもなりません。しかし、このパターンを選ぶときには、なぜ合わないのかをしっかりとヒヤリングする必要があります。自分から側だけの判断で決めてしまうと、相手を傷つけてしまう恐れがあるからです。第三者に入ってもらうのもいいかもしれません。指導者を替えるのは、スタッフの数的に無理な場合もあるかもしれませんので、どの方にもお勧めという事ではありませんが、指導していて自分のメンタルが悪くなることは避けなければいけません。どうしても耐えられない時は、上司に相談してみましょう。
・自分の成長のつもりで相手の本質を見抜く力をつける
先に書いた通り、相手が学びたい事と、こちらが先に教えたい事にズレがあると、指導は上手くいきません。指導する時は、相手は何を学びたがっているのか?または、今教えている事が腑に落ちていないようだが、興味が無いからか?分からなかったからか?など、相手の表情や声のトーンで理解しながら進めていきます。このように、相手の動向で様々な事を察しながら指導していきますが、誰にでも出来る事ではありません。これにもある程度の経験と、訓練が必要です。そのため、なかなか伝わっていないなと感じたら、色々ディスカッションをして、どのような思いだったのかを学ばなければなりません。要するに指導しながら、こちらも学ぶわけです。自分の成長にもなると考えて、楽しみながら指導をすれば、いずれは指導マスターになるかもしれません。この訓練に大事なのは相手の本心を聞き出すことです。そのためには、指導しながら学ぶ姿勢と、気持ちが大切ですね。
以前に書いた記事:人を動かす力のある人とそうでない人の違いはどこにあるのでしょう
最後に
私も仕事で、沢山のかたの指導をしてきました。始めに書いたような厳しい姿勢で、自分が教わった通りに指導した事もありましたが、上手くいったのは、相手が合わせてくれたからだと思っています。今は、自分の仕事をしている姿を見せて、その仕事の中から教えてと思う事があれば声を掛けてねと言っています。もちろん、初めは困らない程度に教えますが、全てを押し付けるような事はしません。たまたま私が指導する事になったとは言え、学びたい方が私を選んだのではありませんから、私から学びたいと思う事をリクエストしてもらう事にしたのです。そうすると、お互いのストレスも無く、自分のペースを崩すことがありませんので、とても楽になりました。皆さんも指導について、ストレスを抱え込まないようにしてくださいね。